令和国際大学

グローバルビジネス学科コミュニケーションデザイン学部

2019-04-18 どこまで不要なものを削ぎ落とすか

iPhoneはプロダクトとしては言うまでなく超優秀、何だかんだ言う人も多いけどこれだけ直感的に動かせる情報処理端末ってほかに見たことないとはよく思うが、じゃあその直感的な操作感って実は多機能性とトレードオフな部分も少なからずあるわけでござんして、たとえばiPhone 3Gとかの頃なんて石のほうが便利だとか言われるぐらいに出来ないことが多かったぐらい(下記参照)f:id:orenomemo:20190412173809j:imageではございますが、結果的にはユーザーが何かをしようとしてもほとんど迷わないという脅威のユーザビリテイの前にそういったそもそも出来ないことが多いみたいなデメリットが完敗してヤバい速度で広まっていったというのがあります。

で、ここからしばらくは余談ですが、そもそもまあ全てが余談なので、ここに書いてあるのは、まあいいんですが、だからこれは余談の中の余談なんですけど、そういえば昔のiPhoneマルチタスクも出来なかったので、一部の物好きたちはJailbreak(脱獄)してそういう機能を無理やり足して使ってました。で、多分そういった動き自体はAppleのエンジニアも知ってたんじゃないかなと思っていて、Jailbreakで人気の機能はしばらくするとOSアップデートで反映されたりとかもしていましたが、他方でAppleの世界観の要諦であるところの「シンプルさ」を阻害するような機能に限ってはいくら人気とはいえiOSに含まれることはなかったわけです。たとえばホーム画面のレイアウトを変更するみたいなやつとか。

んで、iPhoneをこれだけ長く使ってるとやっぱこれが出来ないのは困るなあとかいうこともたまには出てくるんですが、いまちょっと困るなあと思うのはソフトウェアキーボードでTabを入力できないこと。Tabって一般的なエンドユーザーなら使うことはほぼほぼ無いとは思いますし、自分も最近までは気にも留めなかったんですが、職域がデザイナーから徐々にフロントエンドエンジニアに移行していくにつれて、普段使いのスマートフォン上でちょっとしたコーディングが出来ればなあと思う場面も増えてきてどうすっかなーと思うようになりました。一応辞書登録してしまえば使えるんですが、その度に日本語にして入力して変換して英語に戻して...って結構ばからしい。

とはいえ、Tabが入力できないからクソだとは思わないし、そういった一般的なエンドユーザーが使わない機能を極限まで削ることによって初めてこの狭い領域で十分に機能するソフトウェアキーボードが成立しているのだと思うとこちらとしても仕方ないか、別の方法でも考えるかと思えるわけです。

まあそれはそれとして、iPhone X以降のソフトウェアキーボードのソフトウェアキーボードのレイアウトって酷いと思います。特にキー部分の下、スペースキーの下の謎の余白は一体何なのか。f:id:orenomemo:20190414182533j:image

やはりジョブズの逝去以降、以前のAppleのデザインのクオリティコントロールでは到底許されなかったであろうものがちょくちょく見受けられるのが残念で仕方がないです。「不要なもの」「シンプルさに抗うもの」が紛れるようになってしまっています。上図は、自分なら音声コントロールはデフォルトでオフに、オン時にはスペースキーを削ってその右側に、言語切り替えアイコンは「123」のボタンを削ってその左側に入れると思います。

 

2019-04-16 デフレと支払いたくなさ

チャンアベがデフレ脱却ゥ〜ッ!って半狂乱で叫びながらもそんなことはどこ吹く風で普通にデフレが継続してるの、なんか経済政策だとか産業構造とか人口動態だとか国際競争だとか以前に、そもそも人々にまともに対価を払うという発想がないからのような気がしてきている。特に人々の無形物に対する対価の払いたくなさはすごくて、イラストレイヤーはチョチョっと描くだけなんだから手間賃ぐらいあげときゃいいやと思ってるし、買い切りスマホゲームは楽しかったけど値段が高すぎるぼったくりだとコメントを残し、はたまたセールになったらなったで定価で買った俺らを愚弄していると怒髪天、そんな彼らも職場ではみんなで頑張ってるんだからと残業は当然のことと見なされる。なんかそういうのって価値や体験の提供者が好き好んでやってるねんから大した金なんて払わんでもええねんみたいな謎理屈をよく聞くんですが、それって正当な価値を支払うか否かとは全く別の話やないんすか。たとえばコックさん👨‍🍳にお料理とか好きなんですか?って聞いたら、まあ少なくとも仕事にするぐらいには好きだと答えるとだろう、じゃあそこで好きだからやってるんすよね?ってことはタダでいいっすか?とかいう客は普通に無銭飲食のカドでタイーホな訳だが、不思議とコックさん👨‍🍳にそういう事をヌカす人を見たことがない。しかし提供者がそれを好き好んでやってるからというのが対価を支払わなくていい理由となるのであればコックさん👨‍🍳に向かってそうヌカす奴らがサビ残上等オジサンと同程度に存在しないとおかしい。これに至り、タダメシ食おうとするやつとタダイラストをゲッツしようとする奴らの何が違うのかが考えたのだが、このおかしさの正体、それは多分料理という成果物の工程の見えやすさ、原材料の明確さが大いに寄与してるように思う。プロセスが想像つくから金払わんとといかんなと思ってしまう。思ってしまうっつうかそれがあるべき姿だと思うが。で、この仮説が真だとすれば、工程をオープンにしていくことでかえって対価を得やすくなるというへんな状況になるのであるが、それはある意味正しいのかもしれん。イラストレイヤーがその技術を身につけるプロセスや、その技術によって何かを描いていくプロセスなんて絵心のない我々には想像もつかない。なんとなく思いつくのはいっぱい練習したんだろうなということぐらいで、でも俺は絵の練習とか楽しくなかったけどこいつは何で出来たんだろう、わかったこいつは絵が好きでいっつも書いてて外でドッジボールに参加しなかったあの暗い奴らの成長した姿なんだとピンと来てじゃあ手間賃でいっかとなっているのではないかとかそういう話だとは思うが、要するにプロセスが想像つかなすぎると邪推に継ぐ邪推でこの例のように不当に低く見積もりがちだし、いやいやじつはこれはここに至るまで泥を啜る思いを幾度となく繰り返して参りまして...と説明したらちょっと違うかもしれん。こういう意味で消費者っつうか価値の受取側の共感を得ることでマニーをゲッツしやすくなるみたいなのは確かにマーケティングとかでも聞く話であるが、そんな共感とか抜きにしてそもそもそれが良いなと思ったなら思っただけ対価を支払えよという話ではございませんか?んでもってそうやって支払うべき価値がどの程度のものなのかの審美眼がてんで無いから工数とか原材料とかボリューム感とかそういう目に見える価値に換算するしかなくなるんじゃないですか?つまり、結局は価値に対する関わり方を知らないだけなんじゃない?だからこそ価値を運用していくっていう発想がなくて、運用できないから下がっていく一方、っていうのが我々ニッポソ人のおかれている現状なんじゃないすか?って俺っちは思うんだけど、ユーはどう思う?どうなんですか?How Does It Feel?っていうことを深夜の風呂で書き連ねました。疲れたので寝ます。

英文徹底解読 ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞スピーチ

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2019-04-12 人類が宇宙に出ればUIも変わる

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2001年宇宙の旅」より
  • 先日このブログでも取り上げたゲーム「Monument Valley」が秀逸だった点の一つは、現在まで我々が慣れ親しんできた、「人類の歩行」というものの在り方にオルタナティヴの可能性を示してくれている点だと思う
  • 具体的には、あのゲームでプレイヤーキャラクターは「地表に対して垂直な面」上をも歩くことが出来たというのがそうだ
  • 正確に言えば、「地表と平行な面以外の全ての面を歩行できる」というのが正しいかもしれない

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「Monument Valley」より
  • 「地表と平行な面以外の全ての面を歩行できる」というのが体験として斬新であることは、言うまでもなく、我々が地表と水平な面以外を歩いた経験が無いということに根ざしている
  • だが我々が宇宙に暮らすようになり、冒頭の「2001年宇宙の旅」の画像のように、かつて人類が踏みしめていた大地と違う面を歩くようになれば、それが斬新に受け取られることも少なくなっていくだろう
  • いわば、それが重力に囚われた我々独自の旧世代の感覚と捉えられるようになったとしても、何ら不思議ではない
  • 一つの面だけを意識して設計しておけばよかった時代はその時点で既に終わっており、物理空間内へのオブジェクトの配置は、多面化に対応した「ディメンジョン・フリー」とでも呼ばれるような思想によって導かれていく
  • そしてそのディメンジョン・フリーなレイアウトに慣れ親しんだ人々は、やがてディスプレイ(その頃にそのようなものがまだ存在するのかはわからないが)内でのコミュニケーションもディメンジョンに左右されないものを要求し始めるだろう
  • それがどういう形になるのかは今のところ全くピンと来ないのだが…。

2019-04-11 Apple Cardはかっこいい

www.gizmodo.jp

こういうの読むと、Apple Cardというものを本当にミスリードしてると思う。まず、経済的に得だからApple Cardがほしくなるわけじゃない。Apple Cardはシンプルにデザインとして優れているし、その上スマートに決済が出来るから欲しいだけである。要するに、かっこいいから欲しい、それだけである。

そもそも経済的利得のみがユーザーにとっての強烈なインセンティブになる唯一の要素だと思っている辺り、根本的にデフレマインドにズブズブだというか、結局は廉売による差別化が一番最強だと思ってるっぽいし、そういう発想はAppleのようにブランディングによってユーザーに価値を提供するという発想とは水と油。ダイキギョーの人たちがそれを理解できないのならともかく、テック系のライターまでそんなこと言ってるんだから、御先真っ暗感が強い。